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「お客様の声(VoC:Voice of Customer)」を大切にしていますか?と聞かれれば、ほとんどの経営者様は「もちろん」と答えるでしょう。
しかし、その声はどこにありますか? 「担当者の頭の中にある」「アンケート用紙がキャビネットに眠っている」「Excelにまとめているが、たまに眺めるだけ」……。もしそうなら、それは宝の地図を持っているのに、一度も広げていないのと同じかもしれません。
今回は、中小企業こそ取り組むべき、データを「売上」に変えるための顧客の声活用術をお伝えします。
多くの現場で、アンケートは「実施すること」が目的になってしまっています。特に、紙での回収には3つの大きな壁が立ちはだかります。
タイムラグ: 回収し、手入力し、集計する頃には、お客様の熱量は冷め、市場の状況も変わっています。
分析の限界: 「満足している」が多いことはわかっても、「なぜ満足なのか」「不満層に共通する属性は何か」といった深い分析には膨大な時間がかかります。
「声の大きい人」への偏り: クレームや極端な称賛ばかりが目立ち、多くの中間層(サイレント・マジョリティ)が抱く「ちょっとした不便」や「欲しかった機能」が見落とされがちです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、こうした「見えない本音」を「見える化」し、意思決定のスピードを上げることに他なりません。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。ITに詳しくなくても、次の3ステップで「データに基づいた経営」へ移行できます。
まずは、すべての声をデジタルデータとして取り込む仕組みを作ります。
QRコードを活用したWebアンケート(Googleフォームなど)
SNSでの口コミやメンションの自動収集
商談記録のデジタル化
これにより、データは自動的に蓄積され、わざわざ集計する手間がなくなります。
集まったデータは、グラフや図にするだけで見違えるほど価値を持ちます。 例えば、「不満」と書かれたコメントだけをAIで抽出し、頻出する単語を大きく表示(ワードクラウド)してみてください。「待ち時間」「説明不足」「価格」といったキーワードが浮かび上がるはずです。
DXの真髄は、新しいことを始めるだけでなく、「効果のないことをやめる」判断ができる点にあります。データによって「意外とこのサービスは求められていない」と分かれば、そのリソースを別の新商品開発に回すことができます。
BtoB向けの部品メーカー様の事例です。
その会社では長年、「うちの強みは技術力(精度)だ。もっと精度を上げれば売れる」と信じ、開発費を投じていました。しかし、顧客アンケートをデジタル化し、蓄積された数年分の要望をAIで分析したところ、驚くべき事実がわかりました。
顧客が最も多く発信していたのは「精度の向上」ではなく、「納期回答の遅さ」に対する不満だったのです。
「精度は今のままで十分すぎる。それよりも、注文してからいつ届くのかを5分以内に知りたい」
これが、データが教えてくれた顧客の本音でした。 社長はこの結果を受け、技術開発への投資を一時抑え、在庫管理と納期回答の自動化システムを導入しました。その結果、顧客満足度は急上昇。相見積もりなしでの発注が増え、売上は前年比1.2倍となりました。
「データ経営」と言うと、冷たい数字だけの世界を想像されるかもしれません。しかし、現実は逆です。データは、お客様が言葉にできない想いを汲み取るための、極めて人間味のあるツールです。
経営者としての「勘」や「経験」は非常に重要です。そこに「データ」という裏付けが加われば、その判断は確信に変わり、迷いなく組織を動かせるようになります。
まずは、次回のアンケートをWeb化することから始めてみませんか? そこで得られる小さな気づきが、1年後の大きな利益を生み出す種になるはずです。
「Webアンケートを始めてみたいけれど、具体的にどんな質問項目にすれば本音が引き出せるのか?」といったご相談も承っています。まずは簡単なヒアリングから始めてみませんか?