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こんにちは✨IT・DXコンサルタントです。
経営者の皆様と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」についてお話しすると、どうしても話題が「守り」に偏りがちです。
「事務作業を減らして残業をなくしたい」 「ペーパーレスで経費を削減したい」
これらは非常に重要ですし、最初の一歩としては正解です。しかし、IT活用の本質的な面白さは、その先の「攻め(売上アップ)」にあります。
今日は、特別なシステムを入れたわけではなく、「ホームページ」と「Web会議」という基本ツールを見直しただけで、商圏を地元から全国へ広げ、顧客数を倍増させた地方工場の事例をご紹介します。
その会社は、地方にある従業員30名ほどの部品加工メーカー(A社)です。 独自の高い技術力を持っていましたが、長年の悩みがありました。
それは、「商圏の限界」です。
売上の8割は、車で片道1時間以内に行ける地元の既存顧客に依存していました。しかし、地域の産業自体が縮小傾向にあり、注文は年々減少。「新規開拓をしなければ」と焦るものの、営業担当は社長を含めて数名のみ。東京や大阪へ営業に行くには、移動費も時間もかかりすぎます。「ウチのような地方の中小企業は、地元の仕事を拾うしかないのか…」と、半ば諦めムードが漂っていました。
転機は、事業承継を見据えた「営業改革」でした。 A社が決断したのは、高額な営業管理システムの導入ではなく、もっと身近な「顧客との接点(入り口)」のデジタル化でした。
具体的に行ったのは、たった2つのことです。
それまでのA社のホームページは、住所と社歴が載っているだけの「名刺代わり」のものでした。これを刷新し、徹底的に「顧客の『困りごと』」にフォーカスしました。
「何でも作れます」という曖昧な表現をやめ、「〇〇素材の極薄加工ならお任せください」と強みを尖らせたのです。これにより、「加工会社」という大きな括りではなく、「〇〇加工 依頼」という具体的な目的を持った検索にヒットするようになりました。
問い合わせフォームに「ZoomやGoogle meetでの相談可」と大きく明記しました。 以前は「一度ご挨拶に伺います」としていた工程を、まずはオンラインで完結させるフローに変更。図面を画面共有しながらその場で技術的なすり合わせを行うようにしました。
この2つの変更を行ってから半年後、A社に劇的な変化が起きました。
まず、問い合わせの質が変わりました。 「安くやってくれるところ」を探している近隣企業ではなく、「この技術を持っている会社が見つからなくて困っていた」という県外(主に関東・関西)の開発担当者からの相談が急増したのです。
そして、Web会議の効果も絶大でした。 「問い合わせてから30分後に、技術担当者と画面越しに図面を見ながら話せる」というスピード感は、わざわざ訪問する以上の信頼を生みました。
結果として、A社は以下の成果を手にしました。
この事例の勝因は、「ITを使って、物理的な距離を無効化したこと」に尽きます。
地方企業の最大のハンデは「距離」でした。しかし、デジタル空間において距離は関係ありません。 北海道の企業も沖縄の企業も、検索画面上では並列です。顧客が求めているのは「近くの会社」ではなく、「自社の課題を解決してくれる能力がある会社」です。
A社は、ホームページで「能力」を正しく伝え、Web会議で「距離の不安」を解消しました。 特別なAIやロボットを使わなくても、「顧客とのコミュニケーション」をデジタル化するだけで、ビジネスの可能性はここまで広がるのです。
「DX」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、要は「デジタルの力で、商売の『不自由』をなくすこと」です。
「地元でしか売れない」 「会わないと伝わらない」
もしそう感じているなら、それは思い込みかもしれません。 御社の技術や商品を求めているお客様は、実はまだ見ぬ「商圏の外」にたくさん待っています。
まずは、今のホームページが「ただの看板」になっていないか? 遠くのお客様が「ドア(問い合わせ)」を叩きやすい状態になっているか? そこから見直してみませんか。